第5回「人間学校」2025.10.2 に向けて
勝田茅生『ロゴセラピーと物語:フランクルが教える〈意味の人間学〉』新教出版社2022.12
2 誰でも「意味あることをしたい」と思います
1「意味」とは何でしょう?
2「意味」はどうやって見つけるのでしょう?
(1)「黒い石」だけを見る人
(2)「黒い石」を「白い石」に変える人
(3)「白い石」を自分で創る人
「私たちは誰でも自分で「白い石」を創っていく力を持っています。周囲が味気のない砂漠なら、自分の方から潤いの水を差し出し、木陰を作ることができるのです。前向きな行動を回避しようとするのは、今まで自分の方から何かを与えようとしたことがないからなのです。力や技量は何かに手をつけて初めて身に付いていきます。たとえ初めは力が及ばなくても、続けて努力していく内に底力が出てくるのです。これを信じて行動すれば、知らない間に「白い石」が作られていくのです。
過去の状況や今置かれている状況がどんなに不幸だったとしても、いやむしろ不幸だからこそ、自分が存在する価値はあるのです。つまり、もし自分の周囲にただ一つの「白い石」も見つからなかったら、私たちは自分自身の方から「白い石」を提供することもできるのです。」p.55-56
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「意味ある「白い石」を自分で創る」。この人間だからこそ可能な、人間らしい行為は、フランクル「意味の人間学」を理解する肝心ポイントの一つだと思います。
「意味の人間学」が産み出す「人間蘇生」の、終着点の姿だと思います。この人間行為が、意味ある「人間の未来」の現実を創るんだろうと思います。
しかしながら、意味ある「白い石」を自分で創る人が、今の日本社会に何人いるでしょうか?
意味ある「白い石」を創ることが、人間にとってどれほど大切なことなのか、を解っている人がどれだけいるでしょう?
私も含めて、日本人の大半は、意味ある「白い石」を創ることに、今までほとんど無関心であった、と思います。
今の日本人の関心テーマは、「家族・経済・健康・教育」いわゆる4Kにある。個々人が日々に目指す生活目標の理想は、「好・楽・快・遊」好きな事をできて楽しい生活、快適な生活、遊ぶような生活にある。
私の周囲の知人や関係者を観察していても、広く日本社会の全体を大勢として見渡しても、そのように見えます。
人間の未来を創る人間らしい行為、「意味ある「白い石」を自ら創る」は、なぜこの日本に生まれてこないのでしょうか?
日本人の精神年齢は未だに12歳だからなのでしょうか?
マッカーサーは第二次世界大戦後の1951年に米国議会で「日本人はまだ12歳の少年の段階です」と述べました。
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3 間違った「意味」もある?
(1) 「主観的な意味」の罠
「自分で「これをしたい」と考えて、それを自分の目標にし、努力を重ねてそれを達成することには、それはそれで「意味」があるかもしれません。けれども、このような成功物語は、えてして単なる「主観的な意味」の実現に終わることがあるのです。
「意味」には主観的なものと、客観的なものとの二つが考えられます。たとえどんなに目標の尊さが強調されたとしても、その実現によって、多くの人が恩恵に浴するものでないならば、それは個人的な「自己実現」の目標に過ぎません。そこに普遍性がない場合には、結果的には自己満足で終わってしまうのです。
「自己実現」は「普遍的な意味」を実現させた時、その見返りとして初めて出てくるものなので、これを行動の目標にすることはできません。」p.56-57
「フランクルのたとえ──自己実現のブーメラン
自己実現を目標にする人たちはブーメランのようなものだ。⋯ブーメランは目標に達しなかった時だけ、⋯自分のところに戻って来る⋯自己実現したいとばかり渇望した末にうまくいかずにしょげている人は、自分自身のもとに戻り、自分の方を向いて自分だけを「観察する」ようになる⋯。こういう人たちは自己観察に全エネルギーを費やすだけ⋯最終的に自己実現は失敗する⋯。(フランクル『ロゴセラピーと実存分析』)」p.57-58
(2) 他人が評価してくれるところ
「自分の行動を「意味」という焦点に合わせられるかどうか、それはその人が他人の評価に左右されない、自律した価値の基準を持っているかどうかにかかっています。いつも「他人から褒められるか、叱られるか」だけを基準にしている人は、どういう「意味」が今要求されているのかを自分で認識する練習ができていないことになります。」p.61
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「自己実現欲求」or「意味への意志」
⇒⇒「or」から「+」へ、そして「✕」へ
あなたは、「自己実現欲求」重視派ですか? それとも、「意味への意志」重視派ですか?
マズロー/1908-1970は、人間の基本的欲求/needsの5段階/hierarchyを説く。
5.自己実現の欲求/Self-actualization
4.承認/尊重の欲求/Esteem
3.社会的欲求/所属と愛の欲求/Social needs/Love and belonging
2.安全の欲求/Safety needs
1.生理的欲求/Physiological needs
「人間は欠乏欲求/Deficiency-needsから存在欲求/Being-needsの自己実現に向かって成長する。しかし、欠乏欲求と存在欲求は質的に異なり、自己実現を果たす人は少ない。」と言う。
フランクル/1905-1997は「どんな人間も生まれながらに「意味のあることを実現させたいという意志」を持っている」と言う。
あなたは、人間にとって「意味」とは、何だ? と思いますか?
あなたは、「意味のあることを実現させたい」と思いますか?
私は今、次のように思っています。
「意味」とは、「人間の意志」が誕生する土台であり根拠である。
そして、「意味への意志=人間精神」を心の核として堅持して「自己超越」実践してこそ、「自己実現欲求=存在への情感」が充実・達成される。さらに、「意味への意志=人間精神」を心の核として気力充実を持続した活動・生活をしてこそ、欠乏欲求4つも充実・達成できるだろう。
人間は、「自己実現欲求」or「意味への意志」ではなくて、「自己実現欲求」✕「意味への意志」の理解と自覚が重要なのだと思います。
20世紀後半に、人間の成長発達の心理構造を見事に明らかにしたフランクルとマズロー、2人の「人間性心理学=人間学」の後を継いで発展充実させていく課題が、21世紀これから私たちの前に置かれているように思います。
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